外食のアレルギー対応、進む現場・止まる教育。1,800件の調査から見えた課題とは?

はじめに:なぜ今、アレルギー対応の「現状」を知ることが大事なのか
食物アレルギーを持つ人の数は年々増え続けています。
学校給食だけでなく、レストラン・カフェ・テイクアウト(中食)でも
「食物アレルギーへの配慮」が求められる時代になりました。
令和3年度の「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の改正をきっかけに、
国も外食・中食における正確な情報提供の推進を打ち出しています。
でも現場ではまだ——
「必要だと分かっているけれど、どう取り組めばいいのか分からない」
という声が多く聞かれます。
そこで今回は、飲食サービス業・中食業・宿泊業などを含む1,842件の事業者を対象にした調査結果をもとに、
食物アレルギー対応の“リアル”を分かりやすくまとめました。
I. 対応の現状:必要性の認識は高いけれど、方法は「口頭対応」が中心
調査によると、
「食物アレルギー対応は必要」と答えた事業者は83.5%。
つまり多くの飲食店が、その重要性を理解しています。
しかし、実際に何らかの対応を行っているのは51.8%にとどまります。
対応を始めた理由は以下の通り:
- お客様からの要望が多い(59.3%)
- SDGsや社会的責任として(31.2%)
- 経営者からの指示(29.0%)
対応内容では「口頭での回答(89.6%)」が圧倒的に多く、
記録や仕組みとして整備している店舗はまだ少数です。
II. 浮かび上がる課題:「指導できる人材がいない」
アレルギー対応に取り組むうえで最も多かった課題が、
「社内に指導できる人材が少ない」(27.0%)。
さらに、
- 「取り組み方が正しいか不安」(20.5%)
- 「従業員の入れ替えが激しい」(19.7%)
といった課題も続きます。
従業員教育を「行っていない」と答えた事業者は56.4%。
教育を行っている場合も、講師の約8割が社内担当者。
つまり、
「誰も教わっていない人が教えている」
という状況が多いのです。
また、「緊急時のマニュアルがない」店舗は58.4%と半数以上。
いざというときの備えが十分でない現状も見えてきました。
III. 成功事例:小さな工夫が「安心」と「信頼」につながる
課題がある一方で、実際に対応を始めた店舗からはポジティブな成果も上がっています。
💡 実際の成功事例:
- メニュー表にアレルゲンを明記 → 問い合わせが減り、事故ゼロに。
- 予約時のアレルギー確認 → お客様の安心感が高まり、リピーターが増加。
- QRコードで情報提供 → 最新情報を自分で確認できる仕組みを導入。
- 専用ラップや食器の色分け → 厨房での混同を防止。
取り組みを行った店舗の46.5%が「お客様満足度の向上」を、
40.7%が「従業員意識の向上」を実感しています。
小さな工夫でも、“安心して食べられる体験”を生むことができるのです。
IV. 今後のカギは「人材」「教材」「仕組み」
今後、従業員教育を続けていくために求められる支援として、
「教材として使えるリーフレット」(51.1%)や
「教材として使える動画」(37.8%)が上位に挙げられています。
つまり、「教え方を教える仕組み」がまだ足りていません。
消費者庁や業界団体が提供する公的教材を、
現場でどう活かすかが今後の課題になりそうです。
フードハグとしての視点:アレルギー対応を“日常の安心”に
私たちフードハグは、
「アレルギー対応を、できるところから整える」
という理念のもと活動しています。
飲食店の方々が、無理なく・正しく・続けられる形で対応を進められるよう、0からサポートしています。
アレルギーがあっても、誰もが“選べる・食べに行ける”世界を。
それが、私たちフードハグの目指す未来です。
まとめ:できることから、始めよう。
今回の調査から見えたのは、
「必要だと分かっているけど、どうすればいいか分からない」という現場の悩み。
でも同時に、少しの工夫で大きな信頼を生み出す店舗も増えています。
アレルギー対応は、
“完璧にすること”ではなく、“安心して伝えられるようにすること”から始まります。


