そのうどんは大丈夫?混入・誤認が招くアレルギー事故の現場から学ぶ

「うどんなら大丈夫だと思って食べたのに、子どもがアレルギー反応を起こした。」
実際に、そんな声が少なくありません。
原因は、“そば”との混入です。

食物アレルギーの事故は、特別な料理や特殊な状況で起こるわけではありません。
日常のほんの少しの油断、そして「お客様の思い込み」と「店舗側の当たり前」が噛み合わなかったときに、事故は起こります。

うどんとそば、同じ釜で茹でていませんか?

麺類店では、そばとうどんを同じ釜で茹でることが一般的に行われています。
これは作業効率の面では自然なことですが、そばアレルギーを持つ方にとっては致命的なリスクです。
わずかに残ったそば粉の成分が、うどんに付着するだけで症状が出てしまうことがあります。

ある事例では、

うどん店でうどんを注文したらそばが混じっていた。食べてしまって気づいた。

また別の事例では、

店のメニューにはアレルギー表示がしてあるうどん屋で、安心してきつねうどんを食べたところ、10分後くらいから口元がかゆくなり、咳・鼻水も出て嘔吐した。後でうどんとそばを同じ釜でゆでていることが分かった。

これらは決して珍しいケースではありません。

お客様の「常識」は、お店の「常識」と違う

飲食店の現場では、「そばもうどんも同じ鍋で茹でるのは当たり前」と思っている方が多いかもしれません。
しかし、お客様はそのことを知らないのです。

実際、そばアレルギーを認識していてもこんな声が見られます:

「そばを食べなければ大丈夫」
「店名がうどん店だからうどんしか扱っていない」
「そば店だけどラーメンなら大丈夫」

つまり、お客様は「明記されていない=含まれていない」と解釈してしまう場合があります。
だからこそ、“事前に知らせる”ことが何より大切です。

店舗が取るべき対策:伝える・分ける・見せる

アレルギー事故の多くは、「知っていれば防げた」ものです。
対応の第一歩は、“分ける”ことよりも前に、“伝える”ことです。

たとえば──

  • 同じ釜で調理している場合や同じ場所で製麺している場合には、その旨をメニューや店内に標記する
  • そば粉を扱っている場合は、厨房内のどこで扱うかを明確にする
  • 来店前に確認できるよう、QRコードやホームページで「調理環境の説明ページ」を用意する

こうした情報を発信することで、
「うちの店はリスクを理解し、きちんと伝えてくれている」
という信頼が生まれます。

現場で使えるチェックリスト(うどん・そば店向け)

チェック項目(はい/いいえ)
1. 麺の茹で釜を商品別に分けている
2. 同じ釜を使う場合、その旨をメニューや店内で表示している
3. 製麺工程・ゆで工程の動線を整理している
4. スタッフが混入リスクを理解している(研修済み)
5. 来店前に確認できるページ(QRまたはHP)を用意している

お客様の安心は、「事前に伝える」ことから

アレルギー対応とは、特別なことをすることではありません。
「うちはこうしています」と正しく伝えること。
その一歩が、お客様の安心と信頼につながります。

どんなに小さなお店でも、「知ってもらう」工夫はできます。
その積み重ねが、アレルギーがあっても外食を楽しめる社会につながっていきます。

私たちフードハグは、マニュアルではなく“現場の声”から生まれた伴走型の支援サービスです。
お店に合わせて、「一緒に考え、整え、続けられる」仕組みづくりをお手伝いしています。

参考:外食産業における事故事例集