カシューナッツが「義務表示」に。ピスタチオは「推奨表示」に追加 — 現場は何が変わるのか?

2026年4月1日、消費者庁 により食品表示基準の一部改正が公布されました。
今回の変更は以下の通りです。
- カシューナッツ:特定原材料(義務表示)へ
- ピスタチオ:特定原材料に準ずるもの(推奨表示)へ追加
これにより、特定原材料は9品目、準ずるものは20品目、合計29品目となりました。
なぜカシューナッツが義務化されたのか
背景にあるのは、全国実態調査における症例数の増加です。
つまり、
- 実際に事故が起きている
- 無視できない頻度になっている
という現実があります。
これによりカシューナッツは、
「気をつけるべき食材」から
「必ず表示しなければならない食材」へと変わりました。
ピスタチオはなぜ“推奨”なのか
ピスタチオは義務ではなく、推奨表示に留まっています。
しかし重要なのは、
- 症例数は継続して一定数ある
- カシューナッツとの交差反応性が指摘されている
という点です。
つまり制度上は任意でも、
現場では実質的に対応が求められる食材に入ったと考えられます。
飲食店で実際に起きる変化
① メニュー設計の見直しが必要になる
特に注意が必要なのは、
- カレー・エスニック料理(カシューナッツペースト)
- ジェノベーゼやデザート(ピスタチオ使用)
- ドレッシング・ソース類(隠れ原材料)
- トッピングとしてのナッツ使用(食感付与)
といった「見た目では分かりにくい使用」です。
そのため、メニュー単位ではなく
レシピ単位での原材料棚卸しが不可欠になります。
② ナッツ表示は“粒度”が問われる時代へ
これまでは多くの飲食店で、
- 「くるみ」
- 「その他ナッツ」
といった大まかな区分で対応しているケースも見られました。
しかし今回の変更により、
- カシューナッツは個別に管理・明示が必要
となり、
ナッツを一括りにしない管理が求められます。
③ 仕入れ品もよく確認する
見落とされやすいのが、既製品や業務用食材です。
例えば、
- 業務用ソースにカシューナッツが含まれている
- デザート原料にピスタチオが使用されている
- ロット変更で原材料が変わる
といったケースです。
これらを把握していないと、意図せず提供してしまうリスクが発生します。
さらに、カシューナッツについては2年間の経過措置期間が設けられているため、
仕入れ食材の表示が完全に切り替わるまでにはタイムラグが生じる可能性があります。
④ アレルギー対応の“伝え方”が変わる
これまで:
「ナッツが入っている可能性があります」
これから:
- カシューナッツは明確な回答が求められる
- ピスタチオも質問される前提になる
結果として、曖昧な説明ではなく、
情報に基づいた判断と説明が必要になります。
飲食店が今やるべきこと
- レシピ単位での原材料棚卸し
- 仕入れ先・仕様書の再確認
- メニュー・表示の見直し
- スタッフ間の情報共有と対応ルールの統一
重要なのは、これらを単なる作業としてではなく、
「情報管理の仕組みづくり」
として捉えることです。
情報管理を“人”に依存する限界
飲食店の現場では、
- 人の入れ替わり
- 忙しい時間帯での判断
- 情報の分散(紙・口頭・経験)
といった要因により、
正確な情報を維持し続けること自体が難しい構造があります。
その結果、「やっているつもり」でも
情報の抜けやズレが発生します。
これからは「管理できる設計」が前提になる
今回の改正で問われているのは、
“正しく表示できるか”ではなく
“正しく管理し続けられるか”です。
- 誰でも同じ情報にアクセスできる
- 更新が確実に反映される
- 現場で迷わず使える
こうした状態を実現するには、
個人の努力ではなく仕組みとしての設計が必要になります。
最後に
今回の改正は一見すると小さな変化に見えますが、
飲食店にとっては、お客様との信頼のつくり方を見直すきっかけにもなります。
制度に対応することももちろん大切ですが、それ以上に大事なのは、
「どうすれば安心して選んでもらえるか」
を考えることです。
アレルゲン情報の扱い方ひとつで、
お客様にとっての安心感は大きく変わります。
すべてを完璧に対応するのは簡単ではありませんが、
少しずつでも整えていくことで、
「このお店なら大丈夫」と思ってもらえる機会は確実に増えていきます。
フードハグとしても、
そうしたお店とお客様をつなぐお手伝いができればと思っています。
【参考】
[1]消費者庁, アレルゲンを含む食品に関する表示について(2026年4月21日閲覧)
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